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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/08/01 18:05, 提供元: フィスコ タナベ Research Memo(5):5つの経営コンサルティング領域すべてが増収を達成*18:05JST タナベ Research Memo(5):5つの経営コンサルティング領域すべてが増収を達成■タナベコンサルティンググループ<9644>の業績動向 2. 経営コンサルティング領域別売上動向 経営コンサルティング領域別売上高は、すべての領域で増収となり、会社計画に対してもファイナンス・M&Aが若干下回ったが、その他の領域はすべて計画を上回って着地した。 (1) ストラテジー&ドメイン ストラテジー&ドメイン領域の売上高は、前期比8.5%増の2,476百万円となった。物価上昇が常態化してきた経営環境において、成長に向けたコンサルティングニーズは依然旺盛で、「長期ビジョン・中期経営計画の策定・推進」「事業ポートフォリオ戦略の立案」等の案件が好調に推移した。また、為替の円安進行に伴って海外進出を目的とした「グローバル戦略の策定・推進」や、「新規事業開発」「ビジネスモデル変革」「ビジネスデューデリジェンス(M&Aコンサルティング)」等の案件が増加したほか、地域密着型の強みを生かして「地域企業の活性化支援」など行政/公共向けのコンサルティング案件も順調に増加した。 (2) デジタル・DX デジタル・DX領域の売上高は、前期比18.7%増の3,255百万円となった。生産性向上やデータ利活用による付加価値創造を目的としたDX投資が好調ななか、「IT化構想・DXビジョンの策定」から「ERPシステムの導入・実装」「マーケティングDX(デジタルマーケティング・セールスプロセス変革等)」「ブランディングDX(Webサイト、SNS)」等の案件が好調に推移した。また、デジタル人材育成に取り組む企業の増加を背景に、「DX研修(人材育成・リスキリング)」「DX認定の取得」「データマネジメント」等の案件が増加した。さらには、新たにグループ化したSurpassのデジタル・DX領域のサービスが増収に貢献したほか、新たな取り組みとして自治体との提携により地域在住の女性をデジタル人材に育成し、資格取得・就業機会創出の支援を行う「TECH WOMAN(R)(テックウーマン)」も推進した。 (3) HR HR領域の売上高は、前期比23.2%増の2,979百万円となった。経営環境の変化や人的資本経営の拡がりに伴い、「人事処遇制度の再構築」「企業内大学(アカデミー)設立」「ジュニアボード(次世代経営チームの育成)」「サクセッションプラン」「女性活躍/DE&Iを推進する組織デザイン」等の案件が好調に推移したほか、「組織・人事戦略の策定・推進」「HRBP」「人事育成」「タレントマネジメント」「HR KARTE(人材アセスメント/HRテック)」等の案件も増加した。さらには、新たにグループ化したSurpassにおけるHR領域のサービスも増収に寄与した。 (4) ファイナンス・M&A ファイナンス・M&A領域の売上高は、前期比12.4%増の2,172百万円となった。後継者不足を背景に事業承継に関連するニーズが堅調に推移したほか、「ホールディングス化・グループ経営」「クロスボーダーを含むM&A一貫コンサルティング(戦略策定からFA、デューデリジェンス、PMIまでを一気通貫で支援)」「事業承継」等の案件が好調だった。さらには、上場企業における資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて、「企業価値ビジョン(IRを含む)」「コーポレートガバナンス・コード対応」「資本政策」等の案件も増加した。 (5) ブランド&PR ブランド&PR領域の売上高は、前期比11.0%増の2,939百万円となった。BtoB企業や周年・事業承継を迎える企業が、パーパスやブランドの構築、グループブランディング等を検討する傾向にあり、「ブランドビジョンの策定」「クリエイティブ・デザイン」「戦略ブランディング・PR」等の案件が好調に推移した。また、リアルイベントや展示会、店頭施策等のニーズも堅調だったほか、「メディアPR(Global PR Wire等)」「コンテンツマーケティング」「リアル×デジタルのハイブリッドプロモーション」等の案件も増加した。 (6) その他 ブルーダイアリー(手帳)やプロモーション商品などその他の売上高は、前期比0.8%増の721百万円となった。 自己資本比率は70%台と高水準持続、手元キャッシュは株主還元とM&A投資に積極的に充当 3. 財務状況と経営指標 2025年3月期末の資産合計は、前期末比189百万円増加の14,328百万円となった。主な変動要因について見ると、流動資産では現金及び預金・有価証券が173百万円減少した。固定資産ではSurpassの子会社化に伴いのれんが344百万円増加した。 負債合計は前期末比352百万円増加の3,187百万円となった。未払法人税等が212百万円、有利子負債が46百万円、賞与引当金が65百万円それぞれ増加した。また、純資産合計は前期末比163百万円減少の11,141百万円となった。非支配株主持分が92百万円増加した一方で、利益剰余金が219百万円減少したほか、その他の包括利益累計額が47百万円減少した。 経営指標は、自己資本比率が前期末から若干低下したものの74.3%と引き続き高水準を維持しており、現金及び預金・有価証券も70億円以上と潤沢で実質無借金経営を維持していることから、財務の健全性は高いと判断される。純資産合計が2期連続で減少したが、これは同社が2026年3月期にROE10%を達成するための施策の1つとして、連結総還元性向100%を目安に自己株式取得を含めて積極的な株主還元を進めているためだ。手元キャッシュが潤沢にあることや、M&A以外は大きな資金需要も発生しないことから、今後も財務面での健全性は維持できるものと弊社では見ている。 2025年3月期のROEは9.5%と前期比で3.7ポイント上昇し、目標の10%到達まであとわずかとなっている。ROEの上昇要因を3つの構成要素に分解して見ると、売上高当期純利益率が同2.0ポイント上昇したほか、総資産回転率が前期の0.90回から1.02回に、財務レバレッジが同様に1.28倍から1.32倍となるなど、3要素すべてが押し上げ要因となっており、同社が取り組んできた資本政策や財務戦略の成果が出ているものと評価される。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《KM》 記事一覧 |