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投資家のためのリスクマネジメント-収益率を上げるリスクトレーディングの真髄ケニス・L・グラント, 長尾慎太郎, 井田京子 パンローリング面白い。知的欲求が満たされていくような、何か強い手応えが感じられる。”リスクマネジメント”というと、個人投資家にそこまで必要なのかと言い訳しつつ後回しにしてきたが、もし1冊だけでも読んでおくとすれば、本書以外にはないだろう。VaRやオプティマルfに関するものも含め、この種の書籍で面白いものなど期待すらしていなかったのに、最後まで読み通せるように、さらに理解が少しでも深まり、助けになればという著者の配慮や明快な表現力、キャリアの裏付けとなる深い洞察力には敬服させられた。 分かりやすい。リスクマネジメントいう分野は、プロの特権かのような難解な言い回しで素人を寄せ付けないようにしているか、解説者本人が分かりやすく説明できるほど理解していないのではないかと疑ってきたが、ここにきて一気に理解を深められた気がしている。本書も初心者個人投資家向けだけに書かれたものではなく、扱う資産規模も大きいが、使っているツールはごく一般的で、シンプルかつ実用的なものばかりなので試してみるのに支障はない。 自分を知ることができる。これは意外だったのだが、私の場合本来トレードを始める以前に学んでおくべきリスク構造の基礎的な知識を補えた。テクニカル分析やファンダメンタル分析にばかり傾注しがちだが、トレード全体のバランスを保つことの重要性を学ばなければ、相乗効果を得る前に共倒れしてしまうリスクの方が大きいということこそ現実なのだ。まずは取引レベルの統計を二次分析することで、客観的かつ数量的に自己分析ができるだろうし、順を追って紹介されている手法のプロセスを想定してみると、資本がまだ小さくても、リスクをコントロールすることを目的としたプログラムを加えて、自分なりに試行錯誤していくということは、それが延いては自分自身をコントロールする制約にもなるはずだ。 守りを固められる。本書で得た相関性やVaRの使い方、シャープレシオなどに洗練加工を施した手法は挙げればキリがないが、すべてに共通する目的は”リスクマネジメント”と”資本維持”だ。これがどれほど難しいことか、最近身に沁みてきている。特に調子が悪くなってきたとき、それに気付いた頃にはいつも遅すぎるのだが、このようなときについつい無謀な賭けを重ねてしまわないように、客観的かつ強制的な自粛シグナルをシステムに盛り込むことの効果は、かなり即効性がありそうだ。 最後に、このような著者のいるアメリカはさすがに金融先進国だと改めて感じつつ、本書の日本語版出版に心から感謝している。 (20代 まっちゃ 脱サラ志望のSE)
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